熱帯夜で寝苦しく、なかなか寝つけれない私。
開けたままにしていた窓から、ひゅうっと
風が吹き込んでくる。
心地の良い風を肌で感じていると、
不思議なことに、ふわっと身体が軽くなる。
そっと目を開けてみると、空を飛んでいる。
まるで自身が鳥になったように、
山間をぴょんと超え、海を滑るように
スーイスイと飛ぶ。
海の向こうにキラキラと輝く街の灯りが見えてくる。
そこへ飛ぼうとすると突然、眼前に現れた巨大な橋に
驚きながらも、余裕に下からくぐる。
上へ上へと上昇する。
大きいビル群が縮むようにだんだん小さくなる。
そこには煌めく灯りが地平線の向こうまで広がっていた。
私たちの住んでいる星はこんなに綺麗なんだ。
嗚呼…夢のような世界。
このままずっと飛んでいたい。
突然、真っ逆さまに落ちる。
星のない真っ黒な空を掴むように、
必死に腕をもがく。
しかし、空しくも真っ黒な海へ落ちる。
目を開けるといつも見慣れた自分の部屋の
天井があった。
ムックリと起き上がると、髪と寝間着が汗で
ぐっしょり濡れていた。
髪と首をポリポリ搔き、カーテンを開ける。
窓の向こうには夏の眩しい陽射しと入道雲が
ムクムクと湧き立っていた。